有酸素と無酸素運動の同時実施(コンカレントトレーニング)について
- 2022年にノルウェー応用科学大学が発表したメタ分析(43件の論文をまとめたレビュー)によると、4~6週間の「有酸素+筋トレ」を同じタイミングで行った場合、有酸素運動と筋トレを近い時間で行うほど筋トレ効果(最大筋力・筋肥大率)が低下するという結果が出ている。
- 原因として「干渉効果(インターフェアレンス効果)」が指摘される。
- 有酸素運動は主に「持久力・遅筋(タイプI繊維)」を鍛えるが、筋トレは「瞬発力・速筋(タイプII繊維)」を鍛えるため、目的や体内反応が正反対になり、互いに打ち消し合ってしまう。
- 特に長時間の有酸素運動を行うと、「コルチゾール」というストレスホルモンが増え、筋肉分解を促進して筋肥大効果を下げる。
有酸素運動をやるならタイミングを分ける
- 有酸素運動をどうしても取り入れたい場合は3時間以上空けると干渉効果が軽減され、筋トレへの悪影響が少なくなる。
- 一般的な生活レベルの心肺機能向上であれば、無理に有酸素運動をしなくても、筋トレ自体でもある程度心肺機能は鍛えられると考えられる。
- カロリー消費という観点でも、同じ時間をかけるなら筋トレのボリュームを増やす方法も有効。
筋トレのやり方:高重量・低レップ vs. 低重量・高レップ
- 筋肥大(筋量アップ)のカギは「トレーニングボリューム(重量 × レップ数 × セット数)」の総量。
- 重量設定は、高重量・低レップでも、やや軽め・高レップでも「総トレーニングボリューム」が同じなら筋肥大効果はほぼ同じという研究報告がある。
- ただし、あまりに軽すぎる(最大重量の30%以下)負荷では十分な効果が得られにくい。
- 自分の限界重量の約30~40%以上の負荷をかけることが大切。
追い込みすぎるトレーニングと筋肥大
- 2019年のイーストテネシー州立大学の研究によると、限界まで追い込むトレーニングをするグループよりも、追い込まずに複数セットをこなすグループの方が筋肥大が大きかったという結果がある。
- 理由として、限界まで追い込むと疲労やコルチゾールの分泌が増えすぎ、次のセットで扱える重量が下がり、結果的にトレーニングボリュームが稼げなくなることが考えられる。
- 「もう1~2回挙げられる余裕」を残してセット数を増やす方法の方が、合計ボリュームを大きくできる。
セット数を多くするメリット(トレーニングボリュームの拡大)
- 「追い込みすぎない」→「重量が落ちにくい」→「多くのセットをこなせる」→「トータルのボリュームが増える」→筋肥大効果が高まるという考え方。
- 一例として、10レップ×100セットなど、極端に大きなトレーニングボリュームを取り入れている事例もあるが、普通の人はまずは3~5セット程度から徐々に増やすなど無理のない範囲で行うのがおすすめ。
- 休息(インターバル)は2~3分ほど取り、同じ重量をなるべく長く維持することがポイント。
筋肉はそう簡単に落ちない(2週間では減少しにくい)
- 2020年のベイラー大学の研究で、4週間トレーニング後に2週間完全休養しても、「筋肉量に有意な減少は見られなかった」というデータがある。
- 3週間以降になると減少が始まると見られるが、1~2週間の休みですぐに筋肉が落ちるわけではない。
- 風邪や体調不良のときは無理せず休む方が得策。
マッスルメモリー(筋肉の記憶)
- 東京大学の研究で、6週間トレーニング→3週間休む→また6週間トレーニング、という方法でも、15週間継続トレーニングしたグループと最終的な筋力・筋肥大の差がほぼなかったという報告。
- 一度筋肉を付けるとサテライト細胞や筋核が増えて「筋肉の下地」ができるため、再開したときに筋肉が戻るのが速い。
- 筋トレは長期的な「資産」になりやすい。多少中断しても、再びトレーニングすれば短期間で取り戻しやすい。
まとめ
- 有酸素+無酸素の同時実施(コンカレントトレーニング)は、間を空けないと干渉効果で筋肥大が妨げられる可能性が高い。
- 筋肥大にはトレーニングボリューム(重量 × レップ数 × セット数)の総量が重要。追い込みすぎて重量が下がるより、余裕を残してセット数を増やした方が結果的に筋肥大効果は高い。
- 1~2週間トレーニングを休んでも筋肉は劇的には落ちない。10年単位で見ても、「マッスルメモリー」により再トレーニングで筋肉が戻りやすい。
これらのポイントから、筋肉を大きく育てたい方は「追い込みすぎず、継続的にボリュームを稼ぐ」トレーニングが有効と考えられます。また、体調不良時は休養を優先しつつ、再開した際にスムーズに取り戻せることも踏まえておくと、長く筋トレを続けやすいでしょう。